佐藤可士和

KENZOのクリエイティブ・ディレクターのパトリックが、初めて佐藤可士和さんに会ったのは、もう、3~4年前のことになります。

今回、コラボレーションしたTOKYO BY KENZOとは、全く異なるプロジェクトがきっかけでした。

(それは、お蔵入りになってしまったのですが…)

その時、可士和さんが「自分のようにポップなテイストを持ったデザイナーは、居そうで居なかった」とお話されていたのが印象に残っています。

その後、可士和さんは、可士和さんならではの原色をふんだんに使ったポップなテイストで、でも、同時にクライアントのコンセプトを的確に捉えた形で数々の作品を世に送り出していき、今や、飛ぶ鳥落とす勢いです。

今回のTOKYO BY KENZOで垣間見た可士和さんのすごさの一つは、「佐藤可士和」を主張する前に、クライアントの思いを鋭く、深く、明快に捉え、軸を寸分も狂わせることなく、そして、最終的には、可士和さんにしかできないデザインでアウトプットに落としていくところでした。

佐藤可士和」作品としての「我」が主張するのではなく、完全なるクライアントの作品として創られているのに、佐藤可士和作品としても軸が一本通っている・・・そんなクリエイション。

そこには、シャープな判断と切れ味、誰しもに届く「分かりやすさ」と「カッコよさ」が有り、その辺りのセンスとアンテナの鋭さに、デザインとしてのクウォリティーの高さと人気を両立させる秘密が有るのだろうと感じさせられます。

そして、そういった可士和さんのすごさが、グラフィックデザインという垣根を軽く飛び越え、本当に多様な分野でのクリエイティブ・ディレクターとして活躍されていることにつながっているのだろうと思います。

TOKYO BY KENZOでの仕事について、パトリックは、こんな風に話しています。

「彼は日本人であり、正真正銘の東京人だけれど、外国人トラベラーの視点で表現する、というこのプロジェクトを完璧にやってのけた。さらに彼は、既存のフレグランスボトルから完全に新しいものを生み出してくれた。出来上がりのボトルに、僕はとても感銘を受けた。それは僕がイメージしていた通りのものだったんだ。同時に、彼が『的確にフレグランスのメッセージを伝えること』と『クリエイティヴな意外性』を両立させていることに、とても驚かされたよ。だって、それは、滅多にできないことだから。」

それから、KENZOが話すどんなに小さな話題にも、まるで、子どものように、楽しそうに、嬉しそうに、向き合い、また、パトリック以外のKENZOの全てのスタッフとも真剣に話してくれる、そんな可士和さんの姿にも、私達は、とても感動しています。

(奥)

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