ネヴィル・ブロディ

この前、KENZO parfumsが20周年を記念して、「ピース・マーク」そのものがプロダクト名になっている限定フレグランスを創ったことをご紹介しました。そのパッケージがこちら。

60&70年代の「ピース&ラブ」のスピリットを引継ぎ、4種類のサイケデリックなパッケージでの登場です。そして、今回、このパッケージデザインをお願いしたのが、ロンドンをベースにパリ、ベルリン、サンフランシスコに拠点を置くリサーチ・スタジオです。このデザイン事務所は、94年にネヴィル・ブロディがパートナーのフワ・リチャーズとともに、立ち上げたもの。恥ずかしながら、私は彼の手がけたレコードジャケットくらいしか思い浮かばなかったのですが、20年以上にわたりグラフィックデザインの最前線で活躍し、常にすべてのメディアでビジュアルコミュニケーションの限界を超えようと試みている、とても影響力のある方です。88年に初めて発表した作品集は、今までに12万部!の売上げを記録し、世界で最も売れたグラフィックデザインの本となったそうです。その後、ビクトリア・アルバート美術館での展覧会では、4万人以上を魅了し、90年には日本でも開催されたので、実際に足をはこばれた方もいらっしゃるでしょうね。

彼の主な活動のひとつに、デジタルマガジンFUSE誌の出版というものがあります。この雑誌は若いアーティストによる実験的なマルチメディア作品を制作し、様々な分野や形でデザイナーがパブリッシャーになる可能性を提案しているのですが、そんなジャンルにとらわれず、時代にあわせて変化し続ける柔軟な感性には、共感するとともに凄いエネルギーだなぁと感動さえしてしまいます。これまでに彼が手がけたブランドやプロジェクトは、Kenzoをはじめ、IsseyMiyake、MacromediaSonyPepsi、Disney、Warner、Nike、Armaniなど、多種多様にわたり、顧客はWeb関係から印刷関係、環境・商品デザインから動画・映画タイトルまで、すべてのメディアに及ぶそうですが、これも、彼がデザインを介して様々な人や物とコミュニケーションをしている結果なのでしょうね。

香水にしても、何にしても、新しい物を創り出すという過程においては、莫大なエネルギーとコミュニケーションが必要になります。ましてや、違う分野とのコラボレーションということになれば益々難しい。でも、その結晶としてひとつの物が完成した時の感動は、本当に貴重なものになります。スケールは違いますが、KENZOでの毎日も、様々なところから刺激を受けて本当にエキサイティング。と同時に、いつもアンテナを張り巡らせて、自分の審美眼も磨いておこうという気になります。

Research Studio

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