BLOWIN' IN THE WIND

今回、KENZOAIRのコンセプトフィルムに使われている曲は、ボブ・ディランの「Blowin' in the Wind」である。

1962年に発表された、有名なこの曲は、アコースティック・ギターの優しげな音色に、弾き語り風な問いかけが繰り返され、最後には必ず、「その答えは風に吹かれている」というフレーズによって締めくくられている。

歌詞の内容からは具体的なメッセージを読み取ることはできないが、淡々と歌う彼の静かなボーカルが、この曲の発するテーマの底にあるものを感じさせているようだ。かのスティービー・ワンダーが、自ら好んで歌うこの詩について「この曲が歌われ続けることの背景にあるものが僕には悲しい」と語るのも頷ける。

KENZOAIRのコンセプトフィルムでは、モデルのヴァンサン・マルティネスが、砂漠を走りぬける車の窓から手を伸ばして、風を感じながら、この曲を口ずさむ。それは、少年の頃の風の記憶をたどる風景でもあり、そして、この曲は、あたかも、前からここで吹いていた風のように、その映像に溶け込んでいる。

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